曲紹介 (SoundCloud)

the piqnic - "lololo"

2015/02/15

the piqnicは静岡の3ピースバンドである。メンバーはShuya (Vocal & Guitar)、Hiromi (Bass)、habato(Drums)の三人。現在二つのデモ音源をリリースしていて、この曲"lololo"は去年の秋には発売されたばかりの2ndデモ、"I CAN'T BREATHING"に収録されている。

彼らのSoundCloudを聴いていると、ノーウェーブポストパンクシューゲイザーなどの影響を感じさせる。どの曲にもダークさがあり、それと同時に美しさがある。ヴォーカルの歌い方はダウナーに歌う事が基本だが、時にThe Novembersのようなファルセットであったり,、時にRadioheadThom Yorkeの苦悩に揺れるような歌い方をする。中でもこの"lololo"という曲はイカしている。呪術的な雰囲気の中で、四つ打ちのキックと共に、男女のヴォーカルが何かをダウナーに呟くところから始まり、そのイントロが終わると、ノイズと共に覚醒性と攻撃性が解放される。やかましい音が鳴っているのは確かであるのだが、そこから浮かび上がってくる風景は静けさと、荘厳さを漂わせている。

COET COCOEH - "月夜のダンスパーティー", "TOMORROW"

2015/02/11

彼女の最新音源リリースと聞いて、これ程心が湧き上がるとは思わなかった。結局の所自分は、COET COCOEHのさっぱりとしたクールな佇まいと、その音楽の湿っぽさ、プライベートさの虜になっていたらしい。特定の異性と久しぶりに会って、「あれ、自分こんなに好きだったっけ?」みたいに思う感覚と似ている。

彼女の最新作は「GLASS COLLAGE」はファッションショーのサウンドトラックであるらしい。2014.12.21にHIRAO ATSUO MUSEUMにて行われたALIGHT presents malicebirjii Ikaros Fashion Show Garasu No Kotobaのために書き下ろしたようだ。「月夜のダンスパーティー」は、一般的に陽気とされるレゲエ調でありながらも、湿っぽくて、夜の都会の雰囲気が出ていて、ムーディーだ。聴いていると、確かにファッションショーの曲だ。ただBGM然とはしておらず、曲の中に彼女の自己がポンと置かれている。あくまで彼女のスタイルでファションショーの曲を作っている印象だ。そして、この音源の最後にこの「Tommorow」という曲が置かれているのを見る限り、アルバムとしての起承転結もちゃんと作られているのだろうな、と思う。

Orca Shore - "Riftle"

2015/02/07

Orca Shoreは2014年2月に結成された4人組のロックバンドであるようだ。2014年のインタビュー記事によると、この頃メンバーは平均21歳だったので、今は平均22歳ぐらいだろう。

現在、彼らのSoundCloudには3曲の音源がアップロードされている。"Only Echoes"という曲はカルフォルニアの広く青々とした空が思い浮かんでくるようなアメリカーンなロックで、"Swimming"もアメリカの中部の荒野の道路が思い浮かんでくるようなアメリカーンなロックだ。この二曲、特に"Only Echoes"は爽やか路線だと言っていいだろう。この中に置いて、この"Riftle"という曲はサイケデリックロックの影響を強く感じさせる捻くれ路線だ。メロディに捻りがあり、気持ち良く酔えるような雰囲気がある。特に1:50秒(110秒)あたりから、メロディががらりと変わる部分がイカしている。まだ始まったばかりという初期衝動的な靜々しさが感じられるバンドだ。

UNDER - "Comme Bacck (Can Not)", "14America"

2015/01/25

一聴して想い起こすのは、フィンランドのOlli AarniによるプロジェクトNuojuvaだ。一言で言えば、くぐもった、テープに録音したようなローファイさのある、女性ヴォーカルによる歌モノアンビエント・ドローン作品だ。アンビエント・ドローンは歌無しであると、退屈で、時にストイックなものになってしまいがちだが、歌が入ると、往々にして瞑想的なポピュラーミュージックに変貌する。そして彼女の音楽には、何かポピュラーミュージックとは表現したくなくなるぐらいのプライベートさがある。誰かに向けるというより、北欧のコテージにこもって、ただ自分の中から溢れて来たものを徒然と音楽化していってるような印象だ。ただこのミュージシャン、北欧でも、カナダでも、東北でもなく、東京のミュージシャンである。一体どういう経緯があって、ここまで北の匂いを感じさせる音楽を奏でるに至ったか、気になる所である。

森は生きている - "磨硝子"

2015/01/18

森は生きているの公式サイトによると、彼らは東京で活動する6人組のバンドであるようだ。「カントリー、ソフトロック、スワンプ、アンビエント、モンド、エキゾチカ、トロピカル、ジャズ、ブルース、クラシック、アフロなど. . .メンバーの雑多な音楽嗜好により、バンドは唯一無二のチャンポンミュージックを奏でる。」とある。メンバーのほとんどは多様な楽器を操れ、その中にはペダル・スティール・ギターマンドリンバンジョー、アコーディオンといった、現在のポピュラーミュージックにあまり使われていないオーガニックな楽器も含まれている。

自分でも言うのも難だが、割かし影があり、そして夜好きの性格の自分には、森は生きているの牧歌性、太陽の日差しと森の豊かさを感じる底抜けの明るさ、多くの人にウケそうなカラフルでポップなメロディは自分にしっくり来るものではなかった。だからヴィレッジヴァンガードなどで、森は生きているの音楽が流れていても「良いね。自分には合わないけれど」みたいな感じでスルーしていた。

しかし先日某レコードショップで彼らの2ndアルバム「グッド・ナイト 」を少し試聴したところ、認識が変わった。牧歌性や明るさはそのままだが、何だろうか、以前より生々しさを感じた。これは確かに人の中から生まれてきている音楽なのだなという、リアルさとでも言おうか、それが音楽に封じ込められている気がしたのである。そこで自分との距離感が縮まった感がある。それに加えて大変音楽的で、艶やかで、美しい。少し聴いた限りでは電子音楽のぶつ切りにされた、急な、無機質な曲展開がない。メロディラインも美しく、サビは太陽の日の光をあたりを照らすような輝き、多幸感があった。まあ、その曲はこの曲じゃないのだが・・・。しかしながら、この曲からもその一端を垣間見る事は十分に出来るはずだ。

UMEZ - "Green Day"

2014/12/20

UMEZは現在東京を拠点として活動している、「エレクトロポップ・轟音ギター&ベース・デュオ」であるらしい。2012年の4月に結成し、2013年6月に東京に来るまでは、イギリスロンドンを拠点として活動していたらしい。これまで3枚のEPと1枚のスプリットアルバム、1枚のアルバムを出しているようだ。この曲「Green Day」は2012年にリリースされたアルバム「 14 years old」の6曲目に入っている。

知っているヴォキャブラリーで簡単に説明すると、Slowdiveの耽美性とおしとやかさ、Flying Saucer Attackの極北性と狂気性を混ぜ合わせたような曲である。中盤まではレイチェル・ゴズウェルがSlowdiveの曲を歌っているような感じなのだが、そこで何を血迷ったのか知らないが、Flying Saucer Attackレベルの耳をつんざくような、覚醒的なギターノイズがいきなり大放出される。そしてそんなノイズがされている間にも、女性ヴォーカルは淡々と今まで通り歌い続けるという、聴いてて笑いが込み上げてくるような曲。

毛玉 - "花粉症"

2014/12/13

毛玉は2012年に黒澤勇人を中心に結成された歌モノバンドであるようだ。メンバーは黒澤勇人(Vo & Gt)、井上俊太郎(Ba)、露木達也(Dr)、上野翔(Gt)、落合四郎(key)の五人。渋谷、下北沢、池袋などでライブ活動中であるらしい。これまでにはEP二枚、OK?NO!!とのスプリットCDを出している。そして今年12月24日に、1stアルバム 「新しい生活」を批評家の佐々木敦が主宰するHEADZというレーベルからリリースするようだ。この曲「花粉症」は、そのアルバムからの一曲。

この力の抜けた、風が吹けばどこかに飛ばされていってしまいそうな、頼り無さそうな黒澤のヴォーカルと、浮遊感のあるサビが特徴的な曲だ。まるで日常生活の中にあるちょっとした幸福感が表現されているような曲だ。今日のような天気の良い午前中に聴くには持って来いだ。僕はそんなにこのリリース元であるHEADZというレーベルの事を知っている訳ではないのだが、僕が知る限りでは、割かしエッジの効いた尖ったサウンドが好きな印象がある。この曲も全体的にほんわかした雰囲気の曲なのだが、ドラム、ギター、ベースの音質は結構エッジが効いててロック仕立てだ。これが毛玉のほんわかとしたサウンドに男らしさ、頼りがいを与えているように思う。

Pomo - "So Fine"

2014/11/30

日本のクラブミュージック界で凄いトラックを作る人は沢山いる。現在自分が知る限りではSeihoMetomeなんかがその筆頭であると思う。ではそんなトラックの上で、ここまでの実力派のシンガーを歌わせている人って日本にいるだろうか?少なくとも僕は知らない。

Pomoカナダモントリオールに拠点を置くクラブ系のミュージシャンである。アメリカのLos AngelsHW&WRecordingsに所属しているらしい。この曲、"So Fine"は、彼のデビューEPにあたる"The Other Day"に収録されている。

聴いていて思い浮かぶのは、あのセクシーで、アブストラクトで、未来的な歌モノクラブミュージックを作るVikter Duplaixである。太くてシャッキリとしたベースとビートの上に、アブストラクトなシンセが乗り、高揚感とムーディーさを生みだしていく。そんなトラックの上でネオソウル風味のセクシーな男性ヴォーカルが乗る。家で聴いてもまったり出来るし、クラブで聴いても高揚感が得られそうな曲である。

Satomimagae - "Niji"

2014/11/23

Satomimagaeの公式サイトによると、Satomimagae は1989年生まれのミュージシャンであるようだ。2003年から現在まで作曲を続けている。2012年に初のアルバム「awa」をリリース。2014年の12月10日に、本曲Nijiが収録されている2ndアルバム、「Koko」をWhite Paddy Mountainレーベルからリリースする予定だ。レーベル直販で買うと、未発表曲二曲が付いてくるらしい。

サイケ・フォーク、アシッドフォークの影響が感じられる。切なさを感じさせるアコースティックギターの調べに、彼女の体温が感じられる、力みの無い、心地良いヴォーカルが入る。聴いていると冬の情景が色濃く浮かんでくる。ヒンヤリと寒い時期に聴くにはぴったりの曲だ。またこの曲のライブ音源がSoundCloudにアップロードされているが、演奏力は音源と全く変わらないと言っていい。要するに確かな実力を持っているミュージシャンという事である。同ライブ音源はここから無料でダウンロード可能だ。

Tomo Nakayama - "Cold Clear Moon"

2014/11/22

Tomo Nakayamaシアトル在住のシンガー・ソングライターである。2000年より地元の仲間と結成したAsahiのヴォーカルとして活動を開始した。その後Grand Hallwayというバンドを経て、ソロで本曲が収録されているアルバム、"Fog on the Lens"の制作を開始。築92年になる古いローマ建築様式のシアトル・タウン・ホールが自由に使えるようになったので、そこでレコーディングを始めたようだ。メインホールではピアノ、バックステージではギター、ヴォーカルは良く反響する地下の廊下でそれぞれ録音していったらしい。

スピーカーの両サイドから柔らかで心地の良い質感の男女のヴォーカル(と思わしきもの)がそれぞれ溢れ出来て、そこに素朴な冬の景色をイメージさせるピアノや、まどろみのある浮遊感のシンセが加えられ盛り上げられていく。本作品の収録されている"Fog on the Lens"はBandcampから購入可能。Porchlight RecordsからCDも購入出来、その内LPもリリースされる予定だ。