曲紹介 (YouTube)

JINTANA & EMERALDS - "RUNAWAY"

2014/01/10

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JINTANA & EMERALDSは、PAN PACIFIC PLAYA所属のスティールギタリスト、JINTANA率いる6人組ネオ・ドゥーワップバンドである。 メンバーには、リーダーの JINTANA (Vo & Steel Guitar)、Kashif a.k.a. STRINGSBURN(Gt) 、先日曲紹介の"DIVE"で紹介をした一十三十一(Vo)、 女優としても活躍するMAMI(Vo)、幅広くダンスミュージックのプロデュースをしているカミカオル(Vo)、TRAKS BOYSとしても活動しているDJ、CRYSTAL(Mixer)などが参加している。

このドゥーワップというジャンルが聴き慣れなかったので、調べてみると、"ポピュラー音楽における合唱のスタイルの一種。"、 "ドゥーワップの特徴は、メロディー(主旋律)以外は「ドゥーワッ」「シュビドゥビ」「ドゥビドゥワ」といった意味を持たない 発音でのリズミカルな歌い方"とWikipediaにはある。 このネオ・ドゥーワップというのは、それを革新したもの、と捉えていいだろう。

そんなネオ・ドゥーワップであろう曲、"RUNAWAY"に自分なりにタグを付けるとしたらChillwave、Tropical Pop、Dream Popあたりになるだろうか。 このVIDEOTAPEMUSICによって作られた素晴らしい映像とあいまって、レトロで、男女の甘酸っぱく濃厚なラブロマンスを感じさせる曲となっている。 この儚さと愛おしさを感じさせるような女性ボーカルは大変魅力的。 とても多幸感に溢れていて、脳内の恋愛麻薬がよく分泌されそう。深夜で一人、ソファーで項垂れながら、 TVで映画を見ている時に、こんなCMが流れてきてほしい。

ふるえるゆびさき - "ナイトクルージング"

2014/01/09

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僕は夜の音楽が好きで、いつか東京という地域性と呼応するような夜の音楽を作りたいなと思っているのだが、 なかなかうまい切り口が見つからず、二の足を踏んだままだ。 そんな自分を尻目に、このアーティストは、そこに上手い事を切り口を見つけて夜の東京と良い感じシンクロした音楽を作っている。

ふるえるゆびさきは2011年に結成されたバンド。現在はメンバー全員20歳ぐらいであるようだ。 これまでの彼らのリリースには2012年の「一回映画終わったあと」、2013年の「続きをきかせて」がある。 この曲は「一回映画終わったあと」からの一曲。

この音楽にタグをつけるのなら、Post-rock、Ambient-rock、Chillといったところになるか。 ロックの基本的な器楽編成で行われる、抑えと揚げの効いたゆるい演奏に乗せて、 この音程が合っているとはいえない、少し調子外れで、不安定なボーカルが謳う。 エンジニアリングにおいて、結構抑揚が残されているので、音楽がとても生き生きとしているように感じる。 また、この不安定なボーカルが曲のゆらゆらと漂うような感じを出すのに一役買っているように思う。 このクラゲのようにゆらゆらと漂うような音楽性は、ミツメとの類似性を感じさせる。

そしてこの電車からの映像を眺めながら、この曲を聴いていると、良い感じに夜の都心から少し外れた東京の雰囲気に浸れる。 まだ荒削りなところはあるものの、今後の活動に期待してしまう一曲である。

一十三十一 - "DIVE"

2014/01/08

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聴いていて、すごく流線形との類似性を感じさせるな、 と思ったら流線形に江口ニカという名前で、ボーカリストとして参加していた人のソロプロジェクトであるようだ。 しかもプロデュースは流線形を率いているクニモンド瀧口。

大変そそる女性がMVに写っている。しかもちょっと昔の演出の仕方をする映像の中で。 このミュージックビデオの作りに制作者の情熱を感じる。 聴いていると、そのまんま80年代のシティポップって言う感じがする。 特に目新しい要素が追加されている様子はない。 懐古主義的であるか?と問われればイエスであると思う。でもそれって悪い事なのだろうか? 例えそうであったとしても良いものは良いのだから構わないじゃないか、と斬新志向でない自分は思うのである。 曲の作りにしろ、録音にしろ、古き良きJ-Popのエッセンスが詰まっているように思う。

Miila and the Geeks - "Cigarette & Water"

2014/01/06

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Miila and the GeeksはLOVE AND HATESとしても活動しているmoe(vo, Gt, Ba)がソロ活動をしていたところに、Kaoru Ajima(drums)、Ryota Komori(sax)の二人が入ってきて、 3ピースとなったバンドである。

ノリとしてはイギリスのガレージロック風味。 このある種の不快感を与えるノイジーなギターと、だらしのない金管楽器の演奏に、このダルそうに、投げやりに歌う女性ボーカルがハマってて、カッコイイ。 聴く人によっては「ひどい」の一言で終わらせられそうな危うさのある曲だが、そんな危うさも魅力的に感じるということは、 これは俗に言うヘタウマというやつなのかもしれない。

マヒトゥ・ザ・ピーポー - "沈黙の次に美しい朝"

2014/01/05

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マヒトゥ・ザ・ピーポーは、大阪の轟音サイケノイズロックバンド(本人たち曰く"サイコデリシャス・ハードポア”)のギターボーカル、であるはずなのだが、 少なくともこの曲に関しては大分趣の違う音楽をやっている。

全体的に音数が少なく、静けさが漂う。鈴虫の鳴き声、幾多ものを小さな光の球を想起させるようなギターの音色が、 夢見心地な雰囲気を演出する。そこに決して上手いとは言えない純朴で素直なボーカルが入り、胸に響く。 まるで自分が現世で感じてきた様々な否定的な事が、浄化されていくような曲。 ライブで全てを出し尽くした後、最後の曲にこのような曲をやられたら、大変印象深いライブになるだろうな、と思う。鳥肌モノの一曲。

尚、この曲、"沈黙の次に美しい朝"は、彼のソロ・アルバム、"沈黙の次に美しい日々"に収録されている。

Greie Gut Fraktion - "We Matter"

2014/01/04

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この曲はインダストリアルで、テクノで、アブストラクトで、トリップホップな曲を作る、 ドイツのアーティスト、Greie Gut Fraktion の"We Matter"という曲を、 TBA名義で活動しているグルジアのエレクトロニカアーティスト、Natalie Beridzeがリミックスしたもの。

音楽的には知っているジャンルでは、トリップホップ、歌モノ系のポストダブステップに近いかもしれない。 完成度の高い音響の中、インダストリアルでテクノ的な硬質さを持つ音でビートが刻まれ、太いキックの音が鳴り響く。その上にドローン的な、まどろむようなパッドが乗り、 ディレイがかった女性ボーカルがボソボソと囁くようにして歌う。移調や転調も随所に行われいて、それにより「おっ」と思う様なメロディラインが形成されている。 これは音源が欲しくなるレベル。

BathsやPortishead、後期Slowdiveなどが好きな人は一聴の価値あり。 トーレ・ヨハンソンプロデュース作品が好きな人も、反応しそうな雰囲気がある。

MCA and Aqua Crystal - "内籐メタン"

2013/12/26

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この曲を初めて聴いたのは、新宿の駅前を一人歩いている時だった。 ウォークマンのイヤホンから流れるあまりにもシュールなラップに、 僕は思いっきり一人笑いをしてしまったのを覚えている。この曲をああいう人通りの多い公共の場で初めて聴くのは、まずかったな、と思う。

この曲「内籐メタン」はMCA(ラップ)と、当時Aqua Crystalの名義で活動していた現Aquadab(トラックメイキング)の共作である。 MCAのその後の活動は不明だが、Aquadabの方はDJ、トラックメイキング、リミックスなどの活動を続けている。 尚、この曲を含んだ音源がリリースされている様子はない。

こんな音楽は今までに聴いたことが無い。 Aqua Crystalのシュールでリアルなトラックの上に、MCAの、ただひたすら喋り続けているような、 シュールでやたら頭の回転の速いラップが乗る。これを聴いていると、 脳内で夜の道路を車でドライブしているときの場面がスローモーションで再生される。 なんだか聴いていると日常の中の非日常を見ているような、不思議な感覚に陥る。そして、このステレオの左右にやたら動かされるラップを聴いていると、 「耳がレイプ」され、ついつい笑いが込みあげてくる。 また、このラップの内容に呼応するようなミックスワークも秀逸。

PADOK - "エビの兄弟"

2013/12/26

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ツチヤニボンドのベーシストである渡部牧人のソロ・プロジェクト、Padokが、 2014年の2月5日に鳥獣虫魚から、自身4枚目となるアルバム「Roadside House」をリリースする。 現在Amazon から予約が可能。 この曲、「エビの兄弟」は本作の二曲目に収録される予定。 ちなみ一曲目は彼のSoundCloudにアップロードされている名曲、「鯨の朝」が収録される予定だ。

刑事ドラマか何かで、犯人を追っている時に流れるような、 焦燥感とミステリアスさに満ちたイントロから始まるこの曲の背後には、 一曲通じて時計の秒針の音が鳴らされている。 何だか自分が毎秒に死に近づいていってるんだなって事を思わせられる。 曲自体はPADOKらしく、アコースティックな響きのする、諦念感と穏やかさが同居している曲になっているが、 この曲にはそれに加え、割り切れなさが漂っている。後ろでピューピューと鳴っている電子音と、途中、まるで花が開くようにして鳴らされるエレクトリック・ピアノが気持ちいい。