曲紹介 (YouTube)

SHE TALKS SILENCE - "Just Like War"

2014/06/04

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SHE TALKS SILENCEは2008年、山口美波(Gu./Vo.)のソロ・プロジェクトとしてスタートしている。現在は河合亜由美(Dr.)が加入し、2人体制となっている。これまでのリリースは、7"シングル「Quiet Sun」、アルバム「Noise & Novels」、ミニアルバム「Some Small Gifts」などがある。自身のレーベル"FUCK WORK RECORDINGS"も運営し、数量限定のライヴ音源や、UKのポストパンクバンドWILD PALMSとのスプリット7"をリリースしている。

この曲、"Just Like War"は6月中旬にアナログ12インチで発売される予定のミニアルバム、"WHEN IT COMES"に収録されている。昔彼女らの曲をYouTubeで聴いた時は、リバーブがかった女性のウィスパーボーカルを中心とした、比較的牧歌的なローファイでチルなインディーロックをやっていた覚えがあるのだが、この曲を聴いて、彼女らに対するイメージががらりと変わった。この曲はゴスで、耽美的であり、その中には狂暴性が内包されている。Slowdivegroup Aを混ぜ合わせて、ここにMatt Elliottのゴシックさとホラーさを足すと、これに近くなるかもしれない。ここに来て彼女らの核のようなものが前面に出てきていて思えていて、それは静かなる迫力となって、自分を圧し始めている。

BERSERKER CHILDREN CLUB - "In The Sun"

2014/05/30

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BERSERKER CHILDREN CLUBは、惜しまれつつ解散したA MAD TEA PARTYが母体となり、2012年に神戸で結成された6人組のロックバンドであるようだ。メンバーはKazuki Sato(Gt & Vo)、Ryo Ando (Ba)、Naotoshi Akimoto(Dr)、Daiki Sato (Gt & Synth)、Ryo Matsumoto(Synth)、Shiho Sato (Vo)。これまでにスプリットシングル、EP、ミニアルバムをそれぞれ一枚ずつリリースしている。また彼らが所属しているエレクトロニック・ロックを中心に作品をリリースする2013年設立の新鋭レーベル、"PARK"のレーベルコンピであるPARK COMPILATION 01にも、楽曲を提供しているようだ。この曲、"In The Sun"は、2013年にリリースされたミニアルバム、"MCMLXXXIX"に収録されている。

見てるとポケモンショックの二の舞になりそうなMVがカッコ良い。この曲からは、チルウェーブネオアコシューゲーザーの要素を強く感じる。また、この輝きのあるポップセンスは前身バンドから引き継がれたものらしい。昔の大物になるオルタナティブ・インディー・ロックバンドの初期の頃の、ヒョロヒョロとしながらも確かに輝きを放っているようなこの感じがとても好きだ。また、どことなくナルシスティックだけれども、チャラくなく、硬派な感じ、そしてコアリスナーに人気がありそうな海外のインティーロックバンドから影響を受けているようなその音楽性からは、THE NOVEMBERSを想起させるところがある。

one thousand lucky cranes - "No.1"

2014/05/26

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まずドローンという音楽について少し話そうと思う。自分はドローンと呼ばれる音楽、またその要素が入っている音楽が好きな事が多い。巷ではドローンの定義が多岐に渡っているようなので、一概に言えないが、あくまで自分のドローンの定義を簡単に述べさせてもらうと、聴いていて、「どろーん」としてくるような、聴いているとソファにぐったりとうなだれたくなるような音楽の事だ。低音の効いたゆったりとした音で作られている事が多い。友人・知人からは「なんでこんな退屈な音楽が好きなの?」と言われる事があるのだけれど、この手の音楽には永遠にこの音の中に沈んでいたい、と思わせるような甘美な快楽が存在している事が多いのだ。

だけれど、「ドローンは退屈だ」という意見も解る。確かにこの手の音楽は退屈になりがちなのだ。で、そのドローンの退屈さを、その良さを保ったまま改善しようとしているアーティストというのがちらほらいて、このone thousand lucky cranesもそんなアーティストの一人になるんじゃないかと思う。同アーティストのBandcampのプロフィールによると、彼は日本の中部の山の中に住む外人であるようだ。彼のセルフタイトルアルバムが長野県の松本にあるTombo Studiosで製作されたようなので、多分その近くに住んでいるのだろう。そのアルバムに入っているこのNo.1という曲は、彼の居住地とは打って変って、都会の夜を感じさせるような曲だ。まどろむようなドローンなパッド音が空間を満たし、そこにフィルターがかった即興的なシンセ、クリックビートを中心とした様々な電子的な処理が加えられ、ゆったりと展開していく。ぼーっとしながら、この気持ちの良い音の中にいつまでも浸っていたい、そんな風に思わせる音楽である。

また、この音楽は今まで自分が他者と共有した事が無い、都会生活でのプライベートな感情、孤独感が、音楽化されているように感じるのだ。まるで写真で風景を切り取るが如く、音でその感情を切り取っているというか。その感情が共有されることでの静かなる快感と安堵感を感じる。

ちなみにジャケの写真は、新宿のスタジオアルタ 前であると推察している。

tricot - "おちゃんせんすぅす"

2014/05/24

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heという日本のロックバンドの"in sequence"というアルバムを聴いた事がある。彼らの音楽には向井秀徳率いるZAZEN BOYS並の変則性があるんだけれど、彼らのような重さ、あからさまな変態性は無く、そのどこまでもポップで、軽快で、キレ味の良いサウンドには、当時新鮮さを覚えたものだ。

多分そういう音楽をガールズバンド、或いはアイドル的な路線でやろうとすると、このtricotになるのかもしれない。tricotは2010年に中嶋イッキュウ(Vo&Gt)、キダ モティフォ (Gt&Cho)、ヒロミ・ヒロヒロ(Ba&Cho)の三人で結成され、その後サポートメンバーであったkomaki♂ (Drums)が正式加入した。これまでに3枚のミニ・アルバムとEP、2枚のシングル、1枚のアルバムを出している。この曲『おちゃんせんすぅす』は、彼女らの1st アルバム、 “T H E”に収録されている。

力みの無い透明感のある声で、妙にエロさを感じる謎のフレーズを繰り返す女性ボーカルとそのコーラス、ノリの良い軽快なドラム、キレ味のあるギターにより、変則的でありながらも、ポップで、爽快で、セクシーさのあるサウンドを生み出している。またミックスワークも秀逸で、途中で女性ヴォーカルのリバーブが増幅され、空間的な広がりがもたらされる箇所にゾワっとくる。あとPVの最後、こっち見んな。

似たようなバンドとしてはFaraquetも挙げられると思う。また変則的なロックに興味がある人は、マスロックでネット上を検索してみると幸せになれるかもしれない。

oh sunshine - "i belong to you (saikou no jinsei)"

2014/05/22

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ビデオを見ていて気付いた。このボーカルの女性、いつかYouTubeで話題になっていた日本好きで有名なアメリカ人じゃなかったっけ、と思ったらそうだった。彼女はエミリーの愛称で親しまれる、アメリカのナイアガラフォールズ市生まれのEmily Mae Connorという女性で、日本語で日々の事を徒然と喋り、その動画をYouTubeアップロードしていた。そんな彼女が、平間幹央というシンガーソングライター兼ギタリストとoh sunshineというロックバンドを結成していたらしい。しかもあのやたら空気の美味いところで行われる、日本のロックフェスティバルの象徴的な存在であるフジロックにも、2011年に参加していたようだ。

コクのあるディストーションギターを中心に作られたガレージロック風味の曲の上で、セクシーで挑発的で吐き捨てるように歌う、エミリーのヴォーカルは想像以上にイケている。まるでアメリカのインディーロックバンドYeah Yeah Yeahsのよう。現在、彼女はアメリカに帰国しているらしい。その理由は彼女のTwitterで公言されていて、「目新しい存在であることに疲れた」のだそうだ。いつかまた気が向いたら、日本に遊びに来いよ。

mishmash*Julie Watai - "回れ右、逃げるんだ"

2014/05/20

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彼らの公式ページを見るだけで、彼らの持つクリエイティビティーの高さが伝わってくる。サイトに入ると曲が流れ、それと同時に、画面中央のメンバー三人の模ったキャラクターが、PlayStationの人気音楽ゲーム、パラッパラッパーの様に踊りだすのだ。ここでは6曲のミュージックアニメーションの視聴が可能である。

mishmash*Julie Wataiの紹介ページによると、彼らは、NYと東京を往復する、アートなど様々なジャンルに精通したコンテンツプロデューサー、マスヤコム(作詞 / プロデュース)、海外で自作の作品集「Samurai Girl」を120万部売上げる写真家であり、HARDWARE GIRLS MAGAZINEのプロデューサーでもある、Julie Watai(ヴォーカル)、コーネリアスのサウンド・プログラマを長年つとめ、2008年には米グラミー賞にもノミネートされている、美島豊明(作曲、編曲)で構成されるグループであるようだ。これまでのアルバムリリースには「mishmash*Julie Watai」(2012)、「The Second Album」(2013)の二枚がある。

そしてこの曲「回れ右、逃げるんだ」は、「The Second Album」に収録されている。 この電子的で、四角くて、遊び心のあるトラック作りはコーネリアスを想起させるところがある。そこは作曲担当の美島豊明の味が存分に出ている。そんなトラックの上で抑揚の無い可愛い系の女性ヴォーカルが歌うのだが、それがこののっぺりとした絵のシュールのアニメーションと相まって、僕は何だか妙な怖さを感じてしまうのだ。

Puffyshoes - "Baby Kiss Me"

2014/05/20

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暑い時にローファイでささくれ立った音楽ってあまり聴きたくない。理由は単純で聴いてると不快指数が上がってくるからだ。だけれど、Puffyshoesの"FINALLY THE WEEKEND"というアルバムは例外である。彼女らの甘酸っぱいノイズポップは夏の郷愁感を感じさせるので、夏に合うのだ。

PuffyshoesのFacebookによると、彼女らは2009年の4月の東京で、ドラムヴォーカルであるNeko Meowsと、ギターヴォーカルのUsagi Hopsによって結成されたデュオであるようだ。これまでのアルバムリリースには、2010年の"SOMETHING GOLD"、 2011年の"FINALLY THE WEEKEND"がある。そしてその両方がCDだけではなく、カセットテープでもリリースされている。残念ながら売り切れているようだ が。「なんで今頃カセットテープ?」と思う人もいるかもしれないけれど、現在には世の中、英米あたりではカセットテープだからこそ出る味わいが好きな人が大勢いるらしいのだ。確かに近年、海外のインディーレーベルを掘っていると、そんなリリースは目に付くようになった。彼女らもそんなカセットテープ志向のアーティストなのだろう。ちなみにこの曲、"Baby Kiss Me" は"FINALLY THE WEEKEND"の方に収録されている。本当はキュートな"I Want A Boy"を紹介したくて見つけたのだけれど、著作権者の動画じゃないっぽかったので、あしからず。

※追記2014/06/01 メンバーの一人であるNatsuko.W/Usagi.HのTwitterによると、彼女らのラストアルバムである"Finally the Weekend"のカセットテープの在庫がまだあるようだ。誤報、申し訳ないです。欲しい方は彼女のTwitterにDMを、だそうです。

Biff Sound #010 - "fisherman`s delight (Yukino)"

2014/05/17

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まずこの音楽を作った人達を紹介する前に、この音源をリリースしているレーベル33RECORDの活動について話す必要があると思う。OTOTOYによると33RECORDは毎週10人以上のミュージシャンがスタジオに集まって行うセッションから生み出された楽曲を、OTOTOYから33週連続で配信する企画を行っているそうだ。セッションの現場であるIce Cream Studioは、一応スタジオの体をなしているようなのだが、それはスタジオというよりも、あらゆる機材が置かれた倉庫のような場所であるらしい。

この曲はそんなセッションの第10弾で生まれた曲。この時のセッションの参加者はTroy Kimura (Synth/Drums)、KINU(Guitar)、harmonious(Bass)、Yukino(Vo)の四人。ゆったりとしたテンポのトラックの上で行き交うリゾナンスの効いた気持ちの良いシンセ、Cocteu TwinsのRobin Guthrieのギターを想起させるコーラスがかった楽園的なギターで作られたトラックの上で、リバーブがかった気持ちの良い女性ボーカルが牧歌的に歌う。まるでSeefeelBrightblack Morning Lightが合わさったような曲である。

ototoyからは本曲が収録されたBiff Sound #010 - EPが高音質wav音源で配信されている。このYoutubeではいまいちな音質であるが、こっちで聴くとかなり音質は良い。このセッションの楽曲を全部聴いてるとBroadcastという電子実験ポップバンドや、楽曲によってはFlying Saucer Attackを想起させる。他にも様々なセッションが行われているが、一つのセッションごとに音楽性が全然違っていて、その音楽性はアンビエントポップ、実験音楽、ラップ、フォークなど多岐に渡っている。とても面白そうな企画である。