曲紹介 (YouTube)

owtn - "jerryfish."

2014/12/30

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現在このサイトの曲紹介(Youtube)のページ別アクセス数ランキングのトップの地位にいるのが、このowtn.の「jerryfish」だ。日本では多人数系アイドルグループがメジャーにしろインディーにしろ流行っているが、彼女は誰ともつるまず、一人静かにムーディーでダウナーなトラックの上でポエムを読み続けている。ああ、学校でこういう立ち位置のおとなしい隠れ可愛い系の女子いたな、などと思い出す。彼女こそがそんな女子達の代表にも思える。彼女のポエムコアは自分の夜の一人の時間に付き添い、夜の孤独を心地良いものにしてくれるような感じがある。Lost In Translationという映画と似たような効能を持っているように思う。加えて彼女はこの通り、ヴィジュアルも申し分なく、このMVは彼女の持っている魅力を存分に引き出している。

藤本一馬 - "My Native Land Ⅱ"

2014/12/30

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藤本一馬は人と人の間で生まれるグルーヴ感・化学反応を大切にするミュージシャンであると思う。そしてそれらをそのまま音としてキャプチャーするようなレコーディングを好んでいる。そうして出来た音楽は大変音楽的だ。抑揚があり、リズムに有機的な揺れがあり、一人の演奏が盛り上がれば、他の人の演奏も盛り上がる、というような化学反応が封じ込められている。なんでかんでもMIDIや編集できっちり整えられる時代において、こうした音楽作りはどんどん異彩を放つものになってきている。全体としてエグベルト・ジスモンチを想起させるようなロマンティシズムのあるギターと、クリスタルの質感がある柔らかみのピアノの掛け合いを中心となった、聴いてて涼めつつも、うねりのあるダイナミズムのあるジャズを作っている。伊藤志宏とのコラボを聴いても、もはやワールドクラスにあるジャズ・ギタリストなのではないかと思う。

石橋英子 - " 塩を舐める / car and freezer"

2014/12/30

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石橋英子のヴォーカルは鳥の囀りのようで、そして煙のように掴みどころがない。地に足が付いている感じがなく、空中をゆらゆらと漂っているかのようだ。全体としてはどこか懐かしさと、初期ユーミン系統の多幸感を感じさせる一曲。また石橋英子の音楽も藤本一馬の音楽同様、抑揚、揺れ、生っぽさが大事にされている。そしてその録音の質も申し分ない。ここらへんはジム・オルークがプロデュースを手掛けている所も大きいのかもしれない。ちなみにこの曲2分32秒で日本語版と英語版が切り替わっている。

LLLL - "Oddness"

2014/12/30

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LLLLは昔から仄かに風格を醸し出していたが、最近はその風格がさらに堂々たるものになってきている印象を受ける。今まではそこまで神経質な打ち込みはやっていなかった印象があるのだけれど、この曲に関してはかなり神経質に打ち込まれている。特に1分14秒、1分55秒あたりのコンピューターが混乱したかのようなプログラミングが印象的だ。その上にLLLLお馴染みのか細い、愛らしい女性ヴォーカルが入る。スピーディーで、神経質に打ち込まれているのだが、それでも「ポップ」の域に留まっている。電子音楽をガッツリ聴いているコアな層にも、ポップな歌もの好きの比較的ライトな層にもアピールできる所謂「あやふや」な立ち位置に彼らはいるように感じる。十分海外で活躍出来るレベルにあると思うので、どんどん活躍の場を広げていって欲しいと思う。

Nag Ar Juna - "doqu"

2014/12/29

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神様とか天国というのは何か身近に在るような、そんな気にさせる音楽。この神々しいさは決して教会に祭られたキリストを崇めるような神々しさではなく、その場にある万物に対して感謝や慈愛を念が溢れ出る様な、所謂「万物に神が宿っている」的な日本的な神々しさだと思う。このNag Ar Junaというプロジェクトは「誰にも向けずに作る」というのがテーマだったらしい。もしかしたら、このような姿勢により自身の内的世界が色濃いものとなり、それがこれまでの沢山の人に向けた音楽のプロデュース経験と相まって、このような美しい曲が生まれたのかもしれない。またSHE TALKS SILENCEが手掛けたこのMVも称賛せざるを得ない。この曲が持つ世界観がとても良く視覚化されていて、サウンドイメージがより色濃く、自分の中に残った。