曲紹介 (SoundCloud)

Masayoshi Fujita - "Snow Storm"

2014/02/03

SoundCloudのMasayoshi Fujitaのプロフィールページによると、 Masayoshi Fujitaはドイツのベルリンを拠点として活動するヴィブラフォニスト兼作曲家であるようだ。 彼のSoundCloudの音源の数々を聴いている限り、その楽曲はヴィブラフォンと電子音楽を組み合わせたもの、 アコースティックな編成で作られた曲まで色々ある。中にはあの抽象的で魅惑的なクリックハウスを作るJan Jelenikとのコラボ曲もある。 自身のソロプロジェクトであるel fog名義でリリースしたアルバムを合わせて、 これまで3枚のアルバムをリリースしており、この曲"Snow Storm"はflauからリリースされた"Stories"に収録されている。

夜の音楽が好きな自分としては、ヴィブラフォンはとても好きな楽器の一つである。 このヴィブラフォンのソロ演奏を聴いていると、真夜中の真っ暗闇の中の真っ白な雪景色が思い浮かんでくる。 ヴィブラフォンとキラキラ宙に舞う雪の結晶を想起させる効果音のみで、ここまでの音風景を表現出来てしまうのには、ちょっとした驚きがある。 また、このメトロノームを使わない演奏というのはリズムに有機的な揺れがあり、 音が生き物のように生きている感じがするので好きだ。 今の音楽は音がキチっと整理整頓されたものがとても多いので、たまにこういう生っぽさのある音楽を聴いて、 自分の音楽細胞の使われていない部分のリハビリテーションを施したくなる。

この抽象的で煌びやかでメランコリーな音色は、夜っぽい音楽を作るポストロックに合いそうな音色である。 もう少しこの曲を見つけるのが早かったら、今年の真冬に堪能できたのにな、と少し悔やんだ。

※追記:この記事を書いた次の日の夜、急に冷え込んで、雪が降り積もりました。

doopiio - "Syrup Gang"

2014/01/30

Idle Momentsのdoopiioの紹介ページによると、 doopiioは大阪と京都在住の2人組のユニット。2013年03月にDay Tripper Recordsから初の作品となるアルバム「Syrup Gang」をリリースしている。 この曲"Syrup Gang”は、同アルバムのタイトルトラックである。

女性のボイスサンプリングを複数にチョップして、ビートを作りながら曲が展開していく。 このセクシーでチルで都会的な雰囲気はSeihoとの類似性を感じさせるが、 Seihoのよりもビートは細かく、変則的であり、少しドラムンベースを感じさせる要素も入っている。 僅かながら、Richard DevineというIDM系無機質エレクトロニカアーティストのメロディもの、"Timac"という曲を想起させる。

しかし近年のDay Tripper RecordsはSeiho、Eadonmm、Madeggをはじめ、元気がいい。今日本でもっとも勢いのあるレーベルの一つであると思う。

ROTH BART BARON - "SubarashiiHibi"

2014/01/30

ROTH BART BARONは2008年に結成された三船雅也(vocals & guitar) 、中原鉄也(drums)の二人組のロックバンドである。 彼らは2009年に"The 3rd Music Revolution JAPAN FINAL"というコンテストにも出ていて、5,409 組の中から "Outstanding performance award"、 "Best audience award"にも選ばれている。これまでの彼らのリリースには「化け物山と合唱団」、「Chocolate Demo」という二つのEPがある。 この曲"SubarashiiHibi"は「Chocolate Demo」からの一曲。

聴いている限りでは、カントリーミュージックの要素を強く感じさせる。サイケフォークも若干入っているかもしれない。 全体としてかなりアコースティックな響きがしていて、電子的な香りはほとんどしない。

一見優しそうに見えて、狂気的な人っている。何を隠そう自分もそう形容されることがたまにある人間なのだが、 この曲程その二つの要素の間にギャップは無いと思うから、安心して欲しい。 歌詞の内容は、要するに今日は気分の良い日だったのに、映画館で話す女性のせいで台無しになちゃったよ、というもの。 ボーカルは大変優しい、絹の織物のような歌声で、その女に対して「細っこい体をさ、鉄のブーツで切り倒し、 前歯を全部引きぬいてやろうか。金色に輝いた髪を引っ張って、町内会を引きずりまわしてやろう。」と心の中で語りかける。

可笑しいのが、サビで「僕をこれ以上、怒らせない方がいい」と静かに優しく歌うと共に、 ストリングスと「ゴオオオオ」と地鳴りのような音のするパッドが入って、音量がぶわっと上がる箇所。 歌詞と曲の一体感と優しさと狂気のギャップがとっても可笑しい曲。

Kumisolo - "Ce soir"

2014/01/29

フランス語の響きってすごく好きだ。品性とセクシーさと同時に、ユーモアを感じさせる響きである。 では、その言語で作られた歌を、のっぺりした発音をする日本人の女性が歌うとどうなるだろうか? 日本人女性であるクミのプロジェクト、Kumisoloが行ったその実験結果では、その化合物は独特な脱力感、可愛らしさ、スルメ感を生み出す事が解った。

Kumisoloの公式サイトによると、クミは思春期にアンナ・カリーナの出演するゴダールの映画を見て、「パリ、ここが私の住む街だわ!」と決意し、渡仏。 パリに来てからは『魔女の宅急便』のキキのようなパン屋さんでのバイト。 そしてパリジェンヌに素敵なお洋服を売ったりしながらヌーヴェル・ヴァーグの粋な仕草を学ぶべく映画学科の授業に通っていたらしい。 そしてコンキ・デュエットとという日本語、フランス語、英語が混じり合ったポップロックをを奏でる3人組の女子バンドをやった後、一人で作曲を始め、Kumisoloがスタートしたらしい。

Ce soirではサーフミュージックを思わせるような痛快なトラックで、日本人女性であるクミが思いっきりフランス語で歌っている。 今まで日本人女性が英詞で歌っている曲、日本人女性がポルトガル語で歌っている曲は結構聴いてきたけれど、 この日本人女性にフランス語で歌っている曲というのが、今のところ一番味わいとしては面白いかもしれない。

Cokiyu - "Haku"

2014/01/28

Cokiyuの公式ページ によると、Cokiyuは愛媛県出身の女性アーティストで、 音大在学時よりコンピュータを用いた現代音楽作品を創作していたそうな。 2007年にデビューアルバム、「Mirror Flake」を発表し、同アルバムの楽曲が、東京モーターショー、キャノンのウェブサイト、映画の挿入歌に使用され、話題に。 2011年には2ndアルバム"Your Thorn"をリリース。そして現在は3rdアルバム"Haku"を制作しているようだ。この曲"Haku"はその制作中の3rdアルバムのデモ曲にあたる。

まるでアルバムの終わりに流れるような、眠る前に聴きたい一曲。Cokiyuの透き通った綺麗なボーカルとコーラスが、 自分の心の中に溜まっている老廃物をいくらか浄化させてくれる。また、夜の音楽好きである自分としては、 綺麗な夜の景色が描かれたアートワークには反応せざる得ない。夜っぽさを感じさせる良いアルバムになればいいな、と思う。

また、彼女のBandcampには、"2ndを作っているときにうまれて まだ完成していない曲です 一緒に完成させませんか?? " というメッセージと共に、 3rdアルバムの試聴可能なデモ曲がずらりと並んでいる。締切は1月31日(火) 24:00と、既に差し迫ってはいるが。

Ducerey Ada Nexino - "004_Soup Pt.2 (Original Mix)"

2014/01/23

Ducerey Ada NexinoのSoundCloudページによると、Ducerey Ada Nexinoは日本のテクノアーティスト、Yuji Kondoによるプロジェクトであるようだ。 また、彼の公式サイトにあるディスコグラフィーのページによると、 これまでに彼の手掛けたオリジナル音源は14枚あり、手掛けたリミックス作品22枚にも上る。 また、彼はインディペンデントレーベル、10 LABELを主宰している。

圧迫感のある四つ打ちを基調とし、黒系の色のスープをグツグツと煮るような音に、 多種多様なノイズと、効果音が入ることにより、展開が作られていく。曲のイメージとしては暗黒色のスープに、 電子的なスパイス、大小様々な電子的な具材が入っているような感じ。 向き合いながら聴いていると、頭の中が揺さぶられたり、掻き混ぜられるような気分になり、 自分の中にある論理性が、非論理的なものになっていくような、可笑しな気分になってくる。

Qrion - "end of summer"

2014/01/16

この曲、"end of summer"を聴いている時の感覚は、"水々しい"チルな歌モノテクノの傑作、Underworldの"Beaucoup Fish"を聴いている時の感覚に近いかもしれない。 聴いていると、この水の流れている音、そして水をイメージさせるような数々のクリアな音色により、 若干固体化していた自分の心が液体化が促され、心に溜まった老廃物が洗い流されるような気分になる。

最近僕が音楽を掘っているとChill Waveだったり、Witch Houseだったり、 一部のPost Dub Stepだったりの、ローファイでくぐもったような音、 潜るような音を聴く事が多いのだが、その中においてQrionの出す、このクリアで"水々しい"音は、 それらの音とは一線を画していて、僕にそれらの音からのひと時の逃避の時間、チルな時間、癒しの時間を提供してくれるのである。

Shortcake Collage Tape - "Watch You Dive"

2014/01/16

Shortcake Collage TapeのSoundCloudページによると、 同アーティストは素敵な音楽と可愛い女の子が好きな大学生であるらしい。 また、彼はネットレーベル、Canata Recordsを運営していて、そのBandcampページを見た限り、 現在のところ35作品がリリースされている。同レーベルのTwitterページには、 「ジャンル・スキルレベル問わず歓迎。canatarecords@hotmail.com」と英語で書かれている。

同アーティストのLastfmページには、「シューゲイザー/アキバポップ/渋谷系の融合を目指す。」と書かれていて、 確かに彼のSoundCloudページにある少し前の作品を聴くと、そういう方向性の音楽をやっている。 ただ最新の曲、"Watch You Dive"は現在の大きなシンセポップムーブメントであるChillwaveに傾倒しているように思える。 チープな打ち込みのドラムの上に、このローファイで、夢見心地で、コーラスとディレイの深くかかった温もりのあるギターが良い感じのコード進行を奏でる。 このギターの音色は、シューゲーザーの先駆け的なバンドの一つであるCocteau TwinsのRobin Guthrieのギターをテープに通した感じだ。 そのトラックの中で、若干音程を外した、素朴な男性ボーカルが歌う、といった趣。 この曲の関しては、彼のポップセンスがキラリと光っているように思う。

RiLF - "Roller Coaster", "so sad"

2014/01/01

RiLFは2010年にコンポーザーであるAnoiceとmatryoshka、 そしてcalu, Takahiro Kido, Yuki Murata, Takahiro Matsueによって結成されたオルタナティブ・ロック・バンドである。 年に3回程ライブを行っていて、あの沈黙と静寂のミュージシャン、Dakota Suiteをはじめ、様々なアーティストのツアーにも参加している。

リバーブが深めにかかったロックの基本的な器楽編成での演奏に、 ストリングスと、か細く美しい女性ボーカルが入る。 あえて例えれば、90年代のアンビエントシューゲーザーの先駆け、Slowdiveに、 クラシックの要素を足した感じ。また、二つ目の曲"so sad"にはアニメ、"ベルサイユの薔薇"を想い起させるような焦燥感、美しさがある。 全体として、クラシックの要素を取り入れることにより、サウンドとしていい具合に風穴が空いて、新鮮な風が入ってきている感がある。 少しボーカルの弱さが気になるものの、それでも明らかに光るものを持っている。

また、彼らのSoundCloudの一番下に、この二曲が収録されているアルバム、"Ferris Wheel"のアルバムプレビューがある。 筆者もこれを聴いてみたが、これはアルバム通して聴いてみたくなる出来。今後の活動に期待したいバンドの一つである。

nao+kyohei - "Circle"

2013/12/30

nao+kyoheiは文字通り、nao とTabata Kyoheiのコラボプロジェクトである。 Twitterによると、naoは福岡在住の、絵、コラージュ、音楽、アニメなどを作っているマルチなアーティストで、Tabata Kyoheiは東京に住むギタリストであるようだ。

kyoheiの煌びやかなアルぺジオのギターに、 naoのCharaにヒソヒソと歌わせて、それにPhaserをかけたよう可愛らしいボーカルが乗る。 聴いているとなんかもどかしいような、擽ったいような、何か得体の知れない悪戯好きの妖精の森に迷い込んでしまったような気分になる。新感覚ミュージック。

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