曲紹介 (YouTube)

Les ANARCHO - "OKANE WO MOYASOU"

2014/02/19

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Les ANARCHOは謎に包まれたバンドである。オンラインCDショップ、"Bridge"の彼らの紹介ページによると、 Les ANARCHO(レ アナーコ)は2009年頃、人類の容観主義化に危機感を覚えたギターとドラムの二人によって結成されたバンドであるようだ。 その二人に賛同した脳覚醒音楽の研究者(bass)、グルーヴ理論の女性研究家(piano)、 そして都内在住一般有名人A子さん(vocal)が加入したらしい。 この曲「OKANE WO MOYASOU」は、彼らがオモチレコードからリリースしている「OKANE WO MOYASOU」からの一曲。

簡単に言えば、相対性理論のやくしまるえつこ系のボーカルを使って、トロピカルでありながら若干都会的でもあるインディーポップをやった感じ。 聴いていると、少し暑い異国の夜の街を友人と共にドライブしている時のような情景が思い浮かぶ。 もう少し暑くなったら音源買って夜のドライブの時にでもかけたい。 また、このレトロな映像を繋ぎ合わせた、どこか夢見心地なこの映像は、VIDEOTAPEMUSICや、ヴァイパーウェーブ系アーティストのそれらを想い起させる。 あえて音楽的に近いかなと思わせるのは、Kai Takahashiを中心としたトロピカル・インディー・ポップバンド、Slow Beachか。 夏にこういう形のバンドが海岸に集まってライブしてくれたら楽しそうなのにな。ああ、でも機材って潮風に弱いのか・・・。

okadada - "Difference"

2014/02/11

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何となくその名前と、彼らのSoundcloudページ にあるような同アーティストの昭和の特撮怪獣映画的なロゴからして、 同アーティストを変態系ロックバンドかな、と思っていて、 最近そういうのを聴く気力があまりないので敬遠していたのだけれど、 3回目ぐらいにその名前を目にした時に聴いてみたら、想像していたのと全然趣が違った。そして良かった。

ボロフェスタ2013のokadadaのプロフィールページ によると、okadadaは大阪で主に活動するDJ/トラックメイカーであるようだ。 これまでのリリースには、Maltine Recoredsからのリリースされているフリーダウンロード音源である "D is for DANCE""The Unemployed EP"の二つと、name your price方式でBandcampからリリースされている "When The Night Falls"がある。 この曲"Difference"はその"When The Night Falls"からの一曲。

音楽的にはファンキーなシンセポップといった趣。 音にアナログ感と温もりがある。その音からして 80~90年代のディスコポップの感じがするけれど、 どことなく使っている音、そして音を波打たせてビート感の生み出す手法などから現代的な匂いがするせいか、 コテコテに懐古主義的という感じはしない。 懐古主義的な要素と現代的な要素の割合の比率は、Bibioの"Ambivalence Avenue"と大体同じぐらいか。

ミツメ - "停滞夜"

2014/02/09

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色々やる事はあるのだが、なかなか手が付けられなかったり、 手を付けていたとしても、なかなか思うよう事が進められない夜ってある。 この曲はそんな停帯した夜を表現した曲、なのかもしれない。

OTOTOYのミツメのインタビューページによると、 同バンドは2009年から都内を拠点として活動している四人組のバンドであるようだ。彼らの公式ページによると、 これまで彼らは3枚のアルバムをリリースしており、この曲、"停滞夜"は彼らの3rdアルバム、"ささやき"からの一曲である。

聴いた感じ、チルでミニマルなポストロックに、80'sディスコポップの要素が入っている感じ。 音と音の間に隙間があるのも手伝ってか、一つ一つの小さなアクセントが印象的。 またこの深くリバーブがかった、まどろむようなボーカルが気持ちいい。 想起させるところとしては、Slowdiveが1995年に出したアンビエント・シューゲーザー、 ミニマル・ポストロックの傑作アルバム、"Pygmalion"と、 この前Daft punkが出した80'sディスコポップ色が濃厚なアルバム、"Random Access Memories"か。

Veni Vidi Vicious - "Golden Brown"

2014/01/27

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Veni Vidi Viciousは入江良介(Vo,G)、入江健(G)の兄弟を中心に2005年に結成されたロック・バンドである。 現在はサポートメンバーとして松田祐伴(B)、大屋博(Dr)が同バンドに加わっている。 これまでのアルバムリリースには、1stアルバムの「IRIE RACKIT」(2008)、2ndアルバムの「9 Stories」(2011)、 3rdアルバムの「Good Days」(2011)、4thアルバムの「T.I.N.T.L.A」(2013)がある。この曲、"Golden Brown"は、彼らの4thアルバム「T.I.N.T.L.A」(2013)からの一曲。

この低音の効いたベースとディストーションギターの、濃厚な圧迫感のあるサウンドだけでもやられるのに、 さらにその演奏に、この低く、ドスの効いた、粋なボーカルが加わるのだから、たまらない。 古き良きアメリカンロックやガレージロックの匂いがしていて、尚且つ、この手のものとしてはエンジニアリングの質が高いという点において、 2012年に傑作アルバム、"Astroride"をリリースした日本のサイケデリック・ガレージロックバンド、Klan Aileenとの類似性を感じさせる。

ペトロールズ - "インサイダー"

2014/01/23

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ペトロールズの公式ページによると、 ペトロールズは2005年に結成された、長岡亮介(Vo / Gt)、三浦淳悟(Bass)、そして河村俊秀(Drums)の3ピースバンドであるようだ。 尚、「ペトロール(petrol)」という言葉は、英国で"ガソリン"を意味する言葉であるらしい。 彼らはこれまで5枚の作品をリリースしていて、このライブで演奏されている曲"インサイダー"は2008年の大晦日にリリースされた「EVE2009」というアルバムからの一曲。

とても都会的で洗練された、洒落たロックンロールミュージックを奏でていると思う。 のっけから、この太いベースと太いキックの鳴り具合にやられる。 そこにディレイとコーラスがかった、綺麗で、洒落た、どことなくブラジル音楽の香りがするテクニカルなギターと、 洒落ていながらも、空虚感を感じさせるボーカルが入る。

サビが終わると、個々の演奏者がその演奏技術の高さを魅せ始める。味わいのあるベースのソロが入り、ドラムが手数をかけたソロを始め、 お次はナンバーガールやZazen Boysを想起させる、まるで大きな都会風景が静かに描き出されるような、 抽象的なギターが轟音で鳴らされる。その後は聴いてると鼻血が出そうな圧巻のギターソロが入る。

全体として、都会の洒落た街に漂う空虚感と良くシンクロするロックンロールミュージックであると思う。 しかも、メンバーの個々が魅せられるような演奏技術を持っていて、 さらに、それを魅せる機会を作っているロックバンドであるという点において、ZAZEN BOYS的でもある。 こんな興奮もののライブをするロックバンドが東京にはまだいたという事実には、 目を見開かざるを得ない。

ostooandell - "君はまるでダンスしているみたいに"

2014/01/22

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インターネットに音楽が氾濫しはじめてから、自分は曲の始めの20秒~30秒ぐらい聴いて、 自分の心に引っかからなければ次、次、というような探し方をする事も多くなった。ただ、この探し方には、時間の節約が出来る、というメリットと引き換えに、 曲が始まって20秒~30秒以降にフックのある曲を見逃す、という問題点がある。この曲もそんな見逃される曲の一つになりかけたが、 途中で曲を終了させなくて良かったな、と思う。

ostooandellは2001年から2010 年まで東京と沖縄を拠点に活動をしていたバンドであるようだ。 メンバーはyukaD(Vo,G) 、mollyLo(Vo,G) 、ヨシトアンデル(Ds)、ゆういち(B)の四人。 これまでのアルバムリリースには2008年の「music」、2010年の曽我部恵一プロデュースの「ostooandell」がある。 尚、yukaDは2011年からソロ活動を行っていて、2013年には"Exhibition"というアルバムもリリースしている。 この曲"君はまるでダンスしているみたいに"は、彼らの1stアルバム「music」からの一曲。

ボーカル、ギター×2、ドラムの編成で、全体として少し乾いた、良い意味で音にスカスカ感のある演奏をする。 そのサウンドは少し都会的でもあるかもしれない。その演奏の中で先ず、このほんわかとした、素朴で、伸びやかな声を持った女性ボーカルに惹きつけられる。 そして、そんな女性ボーカルに、男性の低い声での脱力系コーラスが被せられる部分で、肩の力がいい感じに抜けて癒され、 サビの前の、まるで重力がフンワリと軽くなるような移調が行われた部分でやられる。 あと、2分20秒あたりの、女性ボーカルが「レッツゴ!」と言う部分、楽曲の終盤である3分14秒あたりの、「ダンス!」と言う箇所が、なぜだかたまらなく可愛い。 なんでだろう。

自分の知っているアーティストを用いて形容すれば、DeerhoofのサトミとテニスコーツのさやのコラボユニットであるOne Oneや、 The Curtainsのような素朴さと癒しの要素に、胸キュン要素、Jインディーポップな要素をプラスした感じ。 全体として屈託の無い感じが、この癒されるような感じや愛らしさを生んでいるのかもしれない。 解散してしまった事が非常に悔やまれるバンドである。

group A - "So Am I"

2014/01/20

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group AのBandcampページによると、 group Aは2012年に結成されたアヴァンギャルド・ノイズ音楽と、視覚的なアートをやっているバンドであるそうだ。 メンバーはTommi Tokyo (vocal/synthesizer/ beat)と、Sayaka Botanic (violin/keyboard)の二人。 これまでのアルバムリリースには"A" (2013)と"INITIATION" (2013)の二枚がある。 いずれもリンク先のBanccampページから購入可能。

音楽的には70年代後半から80年代前半にかけてNYのアンダーグラウンドで起きた前衛的な音楽の流行、 ノーウェーブの影響を強く感じさせるものとなっている。TR-808で打ち込まれたようなビートの上に、 サイケさを感じさせるブリブリとした濃厚ベースが乗り、 そこに同じくサイケさを感じさせる、キーキーとなるストリングスが入る。 そんなトラックの中で、女性ボーカルが低い声で、怪しげに何かを呟く、といった趣。 これを聴いていると、通常の1.2倍~1.5 倍の重力が、自分に圧し掛かってくるような気分になる。

Eadonmm - "Desert Rendezvous"

2014/01/18

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この曲を聴いてると、抽象的なClick Houseを作るJan Jelinek、 低音の効いた快楽主義的で退廃的なWitch Houseを作るAndy StottやBalam Acab、 深く潜り込むようなPost Dub Stepを作るScubaなどが想い起される。低音の効いた快楽主義的で退廃的な音像のトラックで作られた、 音のバスタブに浸かってくつろぐようにして、 このリバーブがかった男性のボーカルが歌う。ボンヤリとこの高速道路を走る車からの映像を見ながら、 この曲を聴いていると、気持ち良いのと同時に、何だか憂欝な気分になっていく。

日本の高速道路っていうのは、場所にもよるが、 その風貌からか、夢も希望もない、無機質で、悪い意味で現実的なものの象徴であるように思える。 それが例え日本の高度成長を支えたインフラであったとしても。料金もバカみたいに高いし。 アメリカはほとんどの高速道路料金が無料であり、ドイツでは道路を破壊する恐れのある大型車両のみ有料であるのに。 あれだけの料金を取っておいて、修繕がされていない箇所があって、崩落事故が起こって人が死ぬ、 というのは本当におかしな話であると思う。 それはともかく、Eadonmmの音楽はとても良い。